卒業論文

2022年度卒業研究論文

災害時の行動のパッケージ化の必要性を学ぶための教育プログラムの提案~防災ダンスを活用して~

浅田 真緒

近年の災害事例において、失見当や正常性バイアスが逃げ遅れの原因として挙げられる。その対策として、日ごろの防災活動において、命を守る行動を身につける必要があり、それは行動のパッケージ化に通ずると考えられる。また、近年、防災教育が抱かれる「堅苦しい」イメージを好転させるべく「楽しさ」という感性的要素を取り入れた実践的な防災教育が模索されており、その手段としてダンスを用いた防災教育が注目されている。

被災時の商用車運転教育プログラムの開発~株式会社アペックスでの実践~

岩崎 響介

走行中に被災した際に適切な対応をとるために、防災教育プログラムの開発、マニュアル作成を行った。このプログラムは、災害発生後の道路の危険性について理解を深め、商用車走行中に被災した際の適切な避難行動や防災アイテムの使い方の習得に有効だった。 また防災マニュアルを作成することによって被災した際に落ち着いて適切な避難行動をとることができることが明らかとなった。

災害対応における個人情報を効果的に取り扱うための実態分析

勝本 悠里

災害時の個人情報の取り扱いの実態を明らかにして、災害対応におけるマイナンバー制度の現状を分析した。朝日新聞の526件の記事を分析対象として、データセットの作成後「KH Coder」を用いて計量テキスト分析を行った。分析の結果、災害時に個人情報を利用することの有用性とその問題の両方が明らかになった。またマイナンバー制度については、制度自体の整備や強化が求められることが分かった。

災害宿泊施設の避難所・避難場所活用事例の実体分析~令和2年度7月豪雨・台風10号、令和3年伊豆山土砂流災害の事例をもとに

新田 早祐紀

感染症対策の一環により新たな避難所として活用されるようになった宿泊施設について、利点や課題を明らかにした。99件の新聞記事を収集しKH Coderを用いて分析を行った。この結果、個室での避難生活には他人の目を感じず快適であるというメリットと、孤独感に襲われるというデメリットの双方が存在していたことが明らかになった。また、自治体に金銭的な負担がかかっていたことも分かった

2016年熊本地震の余震が被災者の避難・帰宅理由等に与える影響の分析

針尾 颯駿

熊本地震の余震が被災者の避難に与える影響の分析を行った。熊本地震では、余震のマグニチュードが大きいこと、余震数が多いことが特徴的である。調査を行ったところ、余震の揺れに対して8割方の人がそこまで危険意識を持っていなかった。これには、正常性バイアスが関わっており、その結果が避難行動を取らなかったことに繋がったと結論付けた。

2021年度卒業研究論文

学習目標の達成度

高校生の「わがこと意識」を高める防災訓練の提案

合川和希

近年の災害がもたらした教訓として、自助・共助の大切さや事前の防災訓練の重要性などが挙げられるが、学校における防災訓練にはいくつかの課題がある。そこで、高校生の災害に対する「わがこと意識」を高める防災訓練の提案を行った。その結果、設定した21の学習目標全てが有意に向上し、学習目標は達成された。また、抽象的であった自然災害のイメージが訓練を通して具体的になり、災害に対するわがこと意識が育まれたこともわかった。

学習目標の達成度

災害時の「正常性バイアス」に 打ち克つための教育プログラム開発

喜島綾友里

正常性バイアスやバイアスの理解に加えて、行動のパッケージ化の必要性や実践の普及を図るプログラムの開発を行った。本プログラムでは、PPT、授業用ワークシート、動画、学習目標の達成を確認するための事前・事後アンケートを開発し、授業で実施した。その結果、災害時の正常性バイアスに打ち克つための能力を高めることが出来ることが分かった。

ナッジ効果を用いたアンケート調査

大学生を対象とした地震時の安全行動を促進するナッジの検証

橋本賢太

地震時はバイアスにより、適切な行動をとれない人も多い。そこで、呼びかけ方の工夫で地震時の適切な安全確保行動を促進できると考え、安全確保行動を促進するナッジ効果の検証と、防災意識の調査を行った。大学生を対象に行ったアンケート調査から、大学生の防災意識の向上と、ナッジを用いた音声は、今後の地震による犠牲者を防ぐことができると結論付けた。

開発したプログラムを実際に試している所です。楽しみながら行っています!

学習目標の観点による防災運動会の体系化と実践

平佳織

防災訓練と運動会を組み合わせた防災運動会の体系化とその教育効果を明らかにすることを目的とし、ADDIEモデルを採用したプログラム開発を行った。大学1回生に実施した結果、防災運動会を通して学習目標の達成が見られた。今後、競技種目の追加・変更や各年代に合わせたルール作りなどをすることでより幅広い年代に向けた防災運動会の実施が可能になると考えられる。

「生活」と関連する語の共起ネットワーク

災害時におけるバス運行の実態分析~西日本豪雨の事例から~

森本千代

大規模災害時の移動手段としてバスが挙げられる。そこで、西日本豪雨発生時のバスの対応について、役割と課題について明らかにした。KH Coderを用いて新聞記事のテキスト分析を行った。この結果、災害時のバスには被災者の生活維持、被災地の復興、被災者の心情の変化、人のつながりの創出の4つの役割があることが明らかとなった。また、課題として、運賃、所要時間、定時性があることが分かった。

2020年度卒業研究論文

クラスター7 自治体における避難所対応

令和元年東日本台風(令和元年台風第 19 号)における避難の実態と分析

浅野那々未

令和元年東日本台風における地域住民の避難の実態に注目し、避難の問題点と自治体が行うべき対策について提案した。新聞記事から「避難」に関連するキーワードを抽出し分析した結果、自治体の災害時の対応に課題を発見した。そこで、自治体が想定外のケースに対応出来るよう、問題への対応力を鍛える応用型の防災訓練を行うこと、受援の訓練を進めることを提案した。

災害のわがこと意識

大学生の防災意識と行動の調査ー兵庫県立大学環境人間学部生の実態ー

伊東愛美

近年の日本では、毎年のように多くの災害が起きている。しかし、特に大学生を含む若者の防災の備えは不十分である。そこで、環境人間学部の学生を対象として、質問紙調査を行った。その結果、学生たちは比較的災害に対しての関心はあるものの実際の行動には移せていないことが分かった。学生たちには今一度、災害や防災について考え直し、行動に移してもらいたい。

学習効果の体系化

防災ワークショップ手法が防災力向上に及ぼす効果の検討

大久保貴史

防災WSを適切に実施するため、学習効果を体系化し、その効果を明らかにすることを目的とした。2019年から2011年までの「防災まちづくり大賞」で選ばれた防災的取り組みを対象にデータセットを作成した結果、防災WSは、個人の防災意識の向上や、過去の災害の教訓による対策の共有が可能である一方、地域特性の把握は難しいとわかった。また、大学やNPO団体など地域外の団体との連携が多くの防災効果を生むこともわかった。

学習指導案

災害時の在日外国人の孤立解決を目指した 「やさしい日本語」教育プログラムの開発

谷口真由

在日外国人の災害に対する知識の少なさが問題である。そこで、災害時の在日外国人の現状への理解を深め、日本人の「やさしい日本語」の習得の普及を図るADDIEモデルに則った教育プログラムを提案した。学習指導案を作成し、教育プログラム作成者以外でも勉強会を行えるようにした結果、「やさしい日本語」と災害時における在日外国人への理解を深めることができた。

3回生の事前事後の自己評価

ゲームを用いた防災教育手法の提案

矢野蒼馬

今日の防災教育の必要性及びゲームを教育に用いることによる学習効果の高さから、ゲーミング手法を用いた大学生への防災教育プログラムの開発を行った。プログラム実施後に学習目標の達成が見られたことから、本プログラムが災害時に身を守るための正しい行動や、それに対する普段からの備えの仕方についての知識を身につけることを可能にすると明らかにした。